MTM
MTMとは何か?
MTM {Minor Tooth Movement}(歯の小矯正)とは、審美的・機能的に歯をより良い条件にし、長く使えるようにするための治療手段です。
そのため、MTMと一言で言っても、方法も適応症も様々です。
たとえば、重度の虫歯の場合よく使われる治療で、傾いた歯をまっすぐにして顎の骨を増やしたり、埋まっている歯を引っ張り出したりすることによって被せ物を被せることを可能にします。また、傾いた歯を矯正することによって歯周病などで弱った顎の骨を増強する効果もあり、虫歯だけでなく重度の歯周病にも効果がある治療法です。
さらに歯の根を、しっかり力のかかる位置にブリッジなどを使って矯正することで、虫歯や歯周病のために生じた噛み合わせのズレを治すという効果も望めます。
症例1
咬む力が歯軸方向に加わらず、以下の問題を起こしやすくなります。
- 1) うまく咬めない、食物がつまりやすい
- 2) 冠が装着されている場合外れやすい、歯根が折れやすい
- 3) 歯周病を悪化させやすい
- 4) 咬み合わせが変化しやすい など
咬む力が歯軸方向に加わる事は、とても基本的なことです。
様々な問題を防ぐために、MTMにより歯軸の改善を行なうことで、結果的に歯が長持ちします。
症例2
ブリッジの場合、咬む力が歯軸方向に加わらない冠(*)が外れやすくなります。咬む力が歯を “ くの字 ”に曲げるためです。
そして、一方の冠がはずれ虫歯になっていても、もう一方の冠が着いているためブリッジ自体はしばらくはずれません。
また、歯肉の構造上、歯が傾斜している側に歯周病を発症しやすくなります。
これらの問題点を改善するためにMTMはとても有効な治療手段です。
症例3
前歯の例で、歯並びが少し乱れています。
全体の矯正になるか、前歯の矯正だけで済むか診査・診断を行います。
MTMで行う場合は歯の幅を少しずつ削りながら並べていきます。基本的に咬み合わせを変えないためです。
歯の移動が終了したら装置を外しますが、外したままにしておくと直ぐに歯が戻り始めるため、裏側からワイヤーで固定します。